固有の成分を含み、栄養豊富なローヤルゼリーは、蜂たちの営みが作り出す自然の万能薬です。
蜂たちは、どのようにしてローヤルゼリーを作っているのでしょうか?
ミツバチの場合、ハチミツや花粉を食べて育った働き蜂の寿命は最長でも6か月と短いのに対し、女王蜂の寿命は最長8年で、主な仕事は産卵です。
なんと1日に2000個もの産卵をすることもあります。
数百匹の働き蜂を率いる女王蜂は、一つの巣に常に一匹しか存在しません。
しかし、初めから特別な存在として生まれてくるのではなく、他の働き蜂となる幼虫と同じように生まれてきます(正確には、産みつけられる場所が他の幼虫とは違います)。
その中から女王蜂として選ばれたたった一匹の幼虫は、長い寿命の中で日々の過酷な仕事に耐えうる、屈強な身体に育たなくてはなりません。
そのため、働き蜂たちは特別な餌を与えるのです。
働き蜂は、食べたものを体内で合成し、上下の顎の咽頭腺、大腮腺という部分から白くてとろみのある分泌物を出します。
これがローヤルゼリーの正体で、働き蜂が女王蜂を育てる際に与える栄養豊富な餌なのです。
蜂の巣を構成する無数のハニカム構造と呼ばれる穴のうち、女王蜂が育つ穴を「王台」といいます。
王台と普通の巣穴との違いは、その向きにあります。
普通の巣穴が地面と平行に作られているのに対し、王台は垂直に作られており、働き蜂が下から出入りするような形になっています。
この王台にローヤルゼリーを満たし、その中に小さな幼虫が埋もれるような形で育っています。
穴が下を向いているにもかかわらず、ローヤルゼリーの表面張力で幼虫が下に落ちてしまうことはありません。
女王蜂は、このローヤルゼリーを幼虫期だけでなく、唯一の栄養源として一生食べ続けることになります。
女王蜂は、事故や寿命、巣立ちなどによって不在になることがあります。
そうすると、女王を失った働き蜂たちは、また新たな女王蜂を育てるということを行います。
養蜂場はこの習性を利用して、巣から女王蜂を不在にさせることで、ローヤルゼリーを繰り返し採取しています。
養蜂場では、プラスチックなどで人工的に作った王台に幼虫を移す、移虫という作業をします。
すると、働き蜂はここに女王蜂になる幼虫がいると思ってローヤルゼリーを運んできてくれます。
王台がローヤルゼリーで満たされた72時間ほど経った頃、採取してまた幼虫を元に戻すという作業を繰り返します。
通常は、72時間以内という制限を設けているところがほとんどですが、養蜂場によっては、鮮度を重視して48時間以内に短縮して採取するところもあります。